科学技術研究の歴史が100年を超える日本と比較すると韓国はまだ30年も経っていない。
ノーベル賞は通常、20~30年前の研究成果を基に授与される事実を考慮すると、
韓国が今すぐは難しくてもそう遠くない未来にはノーベル賞受賞が可能だろう。
最近、韓日葛藤状況を称して輸出報復、経済侵略、さらに「己亥倭乱」と呼んだりもする。だが、筆者は
「既得権放棄」だと理解している。過去20年余り、韓国の科学技術が地位を確立しながら韓国企業は
急速に国際競争力をつけてきた。その過程で最も大きな障壁が日本の部品・素材産業だった。
部品・材料はその特性上、長い研究期間が必要だ。やっと国産化に成功したと思っても、
日本のありえない価格引き下げに振り回され、商品化と大企業納品に失敗する事例が茶飯事だった。
一歩先に研究・商品化した日本企業の既得権だった。
安倍晋三首相の輸出規制措置は数十年間積み上げてきた日本製品の既得権を放棄する宣言だと見ることができる。
一時的な需給の困難のうえに、ひどい場合には生産中断という最悪の状況も予想されるだろう。
だが、部品・材料メーカーには市場が開かれ、科学技術者には緊迫感をもって研究・開発(R&D)に没頭し
成功させなければならないという名分と使命感ができた。大企業にも近視眼的戦略から抜け出し、
国内中小企業との長期的な共生の大切さに気づく機会が生まれた。
日本は今回の措置で既得権放棄とともに信頼を崩壊させる愚も同時に犯した。
安倍首相に感謝したいのはこのタイミングだ。日本がいつか必ず使いたかった政策、韓国にとっても
いつか一度は予想されていたことが今年起きたためだ。
もし日本の韓国排除政策が、韓国の科学技術の準備が充分整っていなかった10年前に行われていたらどうなっていたか、
想像するだけでも背筋が寒くなる。だが、研究所と工場に集中して努力すればそれなりに対応が可能だ。
「半導体神話」に続いて部品・素材産業で新たな神話を書く時だ。
[中央日報 2019.10.3]
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