15日、韓国南部・星州でTHAAD配備に反対する地元住民らが投げつける生卵やペットボトルを防ぐため黄教安首相を取り囲む警護要員ら(ロイター)
15日、韓国南部・星州でTHAAD配備に反対する地元住民らから生卵を投げつけられた黄教安首相(中央)=ロイター
15日、韓国南部・星州でTHAAD配備に反対する地元住民らから生卵を投げつけられるなどの抗議を受けた黄教安首相(右)=ロイター
安倍晋三首相への猛バッシングや、5月末のオバマ米大統領の広島訪問への過剰な干渉など、「日本!日本!」と日々、騒々しかった韓国。
現在は北朝鮮の核・ミサイルに対処する「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備や、これに反発する中国との問題に関心が集中している。
“つかの間の日本離れ”の一方で、核をちらつかせる北朝鮮の脅威もよそに、世論の分裂、政権批判、内紛はつづいている。相変わらずの“韓国らしい”騒がしさと同時に、不安感も漂っている。(ソウル 名村隆寛)
噂の流布、噂の利用
韓国で最近、世間が騒いでいるのは、THAADが米韓の合意に基づき、南部の慶尚北道・星州に配備されること。北朝鮮のミサイルから韓国の国民はもちろん、原発や石油貯蔵施設を守る防衛手段だ。
ところが、ミサイルを捕捉するレーダーが人体や農作物に被害を与えるとの噂がすぐに広まり、地元の星州では「主要な農産物であるマクワウリが被害を受ける!」などと騒ぎになった。
朴槿恵大統領はアジア欧州会議(ASEM)首脳会議への出席のためモンゴルにいて不在。
地元に説明に行った黄教安首相は、生卵をぶつけられるわ、ペットボトルを投げつけられるわ、揚げ句の果てには韓民求国防相と6時間も車の中に事実上の“監禁状態”に置かれるわ、散々な目に遭った。
知的でスマートなイメージがある黄首相の憔悴(しょうすい)しきった変わり果てた姿からは、騒ぎの激しさが嫌というほど伝わってきた。
実はこの騒動。THAAD配備に反対する野党や、反米・親北朝鮮の左翼勢力が加勢、扇動していた。特に、親北政党で昨年、解散に追い込まれた統合進歩党勢力が加わっていたことが論議をかもした。
国防省をはじめ韓国政府は「レーダーが人体に及ぼす影響は問題がない」と根拠を挙げて説明した。だが、反対勢力にはそんなことは関係ない。気に入らないもの(韓国政府や米軍)を攻撃できれば何だっていい。THAADはその格好の材料なわけだ。
蒸し返して大騒ぎ
THAADの星州への配備発表を前に、別の騒動もあった。今月8日に米韓が配備(当時、配備先は未定)を発表した際、尹炳世外相がソウル市内のデパートでズボンを買っていたことに韓国メディアがかみついた。
尹外相は「外務省庁舎で転び、ズボンが破れたために」などと釈明したそうだが、「こんな大事な時に!」とメディアは許しておかない。本人が言うように破れたのかどうかは分からない。
でも、大韓民国の外相も人の子。ズボンの一つぐらい買いに行きますよ。知人の外交官(韓国人ではない)は「厳しいねえ。大変だねえ」としきりに驚いていた。
尹外相のズボン騒動はともかく、国と国が決めたことは守って、粛々と履行しなければ困る。THAAD配備の無効化を訴える勢力は、明らかに決定を蒸し返そうと騒いでいた。現在開かれている韓国国会でも、THAAD配備は格好な政争の具にされている。
国会の質疑で野党の有力議員が、こんなことを言って黄教安首相をしつこく攻撃していた。
「THAADの韓国への配備を日本はどう見ていますか。日本は歓迎しているのではないですか?」「日本の国益にTHAAD配備が決定的に寄与します。韓国の国益は何ですか?」
http://www.sankei.com/world/news/160723/wor1607230005-n1.html (>>2以降に続く)
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